力学

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コラム~第2回 おつりって、いくらもどってくるの?~

 現在2019年11月13日8時52分である。

麻友「おつりって、前回の『交通事故で、スピードが2倍になると、衝撃は4倍になる』って、妹さんが言ったのに、太郎さんが、『本当のことをいうと、ものすごく精密に実験すると、ほんの少しおつりがついてきます』と、書いている4倍よりちょっと多い分のこと?」

私「そうだよ。物理学が分からない、という人に、余り易しいことばかり、いつまでも教えていても、成長させられないんだ。ある程度、難しいことを、正確さを保ったまま、丁寧に教えることを、する必要がある」

麻友「じゃあ、ほんのちょっとよ」

私「中学でも、一応、力学的エネルギーの保存、ということは、出てくるようだ。これに書いてある」


麻友「太郎さん、それまで読んで・・・」

私「位置エネルギーと運動エネルギーの和を、力学的エネルギーっていう。という言葉だけは、ある。でも、それが実際どんなものなのかは、高校で物理を取らないと、教わらない」

麻友「じゃあ、私が知らなくても、当然ね」

私「そう。ところが、世の中には、高校で物理を取らなかったのに、大学で、物理学科に来た、という人も、いたりする」

麻友「大学で、勉強すれば、完璧じゃない」

私「ところがね。こういう人は、かなり苦労するんだ。いくら高校の易しい物理だと言っても、2年間、少なくとも100問以上の問題を解かされた経験というのは、大学へ来て、それから始めた人にとって羨ましいほどのアドヴァンテージなんだ」

麻友「あっ、そうね。2年分完全にビハインドというのは、辛いわね」

私「私は、ずーっと続けているこの一連のブログを、そういう人達への救いにもなるように、書いているんだ。だから、このおつりの問題で、またひとつ、人を救えたらと思ってるんだ」

麻友「えーっ、そんなことまで、考えてるの?」

私「うん」


私「さて、位置エネルギーと、運動エネルギーを、数式で表さないと、2倍だの4倍だのというとらえどころのない議論は、解決しない。こんなことを、考えてみよう。麻友さんが、コンサートを開いたときなどに、サインボールを、投げたこともあった。或いは、ヤクルトスワローズの試合で、始球式で、硬式野球ボールを、投げたこともあった。あのとき、ボールは、『弧を描いて飛んだ』はずだ。そうだね?」

麻友「そうだと思う」

私「弧って、どんな曲線?」

麻友「えっ、弧? 円弧? 円の一部? あっ、でも、放物線のはずよね。放り投げられた物の描く線なんだから」

私「今回はスルーするけど、放物線という言葉は、もの凄く難しいんだよ。さて、中学レヴェルの数学で知っている放物線って、{y=x^2} なんかだよね。図に描くと、こんなの」

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麻友「それくらいは、知ってる。投げられた物体は、これを逆さまにしたような、曲線を描くのよね。つまり、{y=-x^2} とか」

私「そうだ。ところで、どうしてこんな曲線を描くのだろう?」

麻友「それは、太郎さん。どうして自然はこうなってるのだろう? という問いは、してはいけないのでは、なかった?」

私「確かにそう。だけど、より高い見地に立って、自然の持つ性質を解き明かすのは、大切なことだ。これについて、やってみると、まず、麻友さんが、まっすぐ前に、始球式でボールを投げた。野球のプロのピッチャーでも、最高スピードは、{160 \mathrm{km/h}} くらいだから、麻友さんは、{40 \mathrm{km/h}} くらいだったかも知れない」

麻友「4分の1?」

私「だって、車の制限速度でも {40 \mathrm{km/h}} ってあるくらいだから、そんなに遅いわけではない」

麻友「あっ、そうか。実は、私、今、車の免許取ろうと、教習所に通ってるの。免許取ったら、一番最初に、太郎さん、乗せてあげる」

私「嬉しいねえ。助手席に乗るの、楽しみにしてる。さて、{40 \mathrm{km/h}} で、投げられたボールなんだけど、後の計算を楽にするために、{36 \mathrm{km/h}} としない?」

麻友「どういう影響があるの?」

私「{36 \mathrm{km/h}} が、秒速何メートルパーセカンドか、計算してごらん?」

麻友「1時間が60分。1分が60秒。だから、

{\displaystyle 36 \mathrm{km/h}=\mathrm{\frac{36 \times 1000m}{3600s}}=10 \mathrm{m/s}}

分かった。{10 \mathrm{m/s}} になるのね。秒速10メートルというのが、徐行してる電車くらい。これ、{36 \mathrm{km/h}=10 \mathrm{m/s}} って、覚える必要あるの?」

私「私の高校の物理の担任は、『覚えるように』と言った。私は、覚えたくなかったが、これを使うと楽に解ける問題に、たくさんぶつかったので、覚えてしまった」

麻友「それで、投げたボールが、秒速10メートルだと?」

私「水平方向のスピードは、地球に引っ張られていないから、変わらないはずだよね?」

麻友「うん。そうね」

私「垂直方向のスピードは?」

麻友「えっ、それは、・・・分からない」

私「じゃあ、質問を変えよう。水平方向には、最初の1秒間で、何メートル進んでる?」

麻友「そりゃ、{10 \mathrm{m/s}} なんだから、{10 \mathrm{m}} 進んでるでしょう」

私「2秒間経ったら?」

麻友「 {20 \mathrm{m}}

私「3秒間経ったら?」

麻友「 {30 \mathrm{m}} に、決まってる」

私「じゃあ、水平方向に進んだ距離を、時計にできるね?」

麻友「えっ、そういうことを、考えていたの? うーん。うーん。そうか、{y=a x^2} のグラフで、横軸が、時間なんだ。{y=a x^2} ということは、1秒(かな?)たったとき、10mだったら、{y=10 \times 1^2} とできて、2秒経ったときは、{y=10 \times 2^2 =10 \times 4 =40} で、3秒経ったときは、{y=10 \times 3^2 =10 \times 9 =90} となる。あれっ、単位はなんだっけ?」

私「それで、いいんだよ。物理学者だって、数学者だって、そういう風に、試行錯誤しながら、計算したり代入したりしながら、結果を見つけるんだよ。単位なんか、気にしてたら、大発見なんてできない。そして、結果が出たら、単位をチェックする。これを、最後にやらないと、失敗する」


麻友「なんか、すっごく頭使った」

私「コラムの途中だけど、もう寝なければならないので、途中までだけど、投稿するよ。未完成なものを、発表するのに慣れないと、この世界では、生きて行かれない」

麻友「この後も、楽しみだわ。おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2019年11月13日23時07分である。おしまい。